電動ハンドガンのシリンダ容量
投稿日 | : 2022/11/17(Thu) 17:30 |
投稿者 | : takjoe |
リンク | : |
はじめまして、takjoeと申します。
電拳の記事はどれもとても興味深く、何度も何度も読んでしまいます。
こんな素晴らしい情報を共有してくださり、本当にありがとうございます。
表題の件なのですが、電動ハンドガンのフルシリンダ、加速シリンダの容量はそれぞれ何立方ミリメートルなのでしょうか?
バレル容量とシリンダ容量は、1:2(重量弾はもう少しシリンダが多いでしょうか)が最適と言われています。
タイトなバレルほど長さあたりの体積が少ないので、ロングバレル化して、加速を長く受けられると考えています。
適切なバレル長を計算するためにシリンダ容量を知りたいのですが、手元にすぐバラせる物がありません。
どなた様でもいいので、フルシリンダ、加速シリンダの
・内径
・圧縮開始からピストンヘッドに到達するまでの長さ(ストローク長)
をお調べいただければと思います。
既知の情報や、すでに電拳さんで紹介されていたら申し訳ありませんがURLを教えて下さい。
以上、よろしくお願いいたします。
Re: 電動ハンドガンのシリンダ容量
投稿日 | : 2022/11/17(Thu) 23:49 |
投稿者 | : 南木 |
リンク | : |
takjoeさん、はじめまして。当サイトの管理人・南木と申します。
電動ハンドガンのシリンダー容量については、過去に何度か話をしてると思ってましたが、思い出せませんでした(記録が見当たりませんでした)。なので簡単に計算してみましょう。
まずシリンダー容量ですが、減径シリンダー作成の記事の中でシリンダーサイズについて記載があります。
減径シリンダーの作成
http://den-ken.net/kaizou/jhan403.html
シリンダー内径が約20.0mm
シリンダー長さは約35.25mm
ただしシリンダーヘッドの厚みが3.0mmあるので引かなければいけません。
あとピストンはシリンダー最後端まで引かれる訳ではなく、ピストンヘッドの厚み分ほど余白ができます。その余白はどれくらいかというと、これは電動ハンドガンのメカボックス紹介記事の中でピストンストロークの写真があります。
ピストンストローク写真
http://den-ken.net/syoukai/jmechasyoukai1.html
この写真からは、ピストンヘッドの厚み分の約5mmが余白部分になると分かります。
ということで、シリンダー容量は次の計算で求めることができます。
半径10.0mm x 半径10.0mm x π x (シリンダー長35.25mm - シリンダーヘッド3.0mm - ピッストンヘッド5.0mm)
=2,725π=8,556.5o3
ということで、π=3.14で計算すると、855.65cm3(8,556.5mm3)という数値になると思います。
(たぶん合ってると思いますが、計算間違いがあるかもなのでみなさんでも再計算を!)
まあ他にもシリンダーヘッドの緩衝材の厚みや、シリンダーからチャンバーまでのノズル内容量などは計算外なので、厳密には正確な数値ではないのですが、もし興味がおありでしたらこの辺りの数値も調べてみられてはいかがでしょうか。
ちなみにバレルサイズをマルイ純正の径6.06mmで計算すると、1cm長当たりのバレル容量は28.83p3となります。これをシリンダー容量855.65cm3の半分(427.825cm3)から割ると、電動ハンドガンでは約14.84cmという長さが理論値としては最適長になりますね。
なお電拳での過去の実験では、実際に複数の長さのバレルを用意して初速を測って比較した結果、約15pのバレルがフルシリンダーを採用した電動ハンドガンでの最適長という結果が出ています。
バレル関係実験第二回 バレル長と初速比較
http://den-ken.net/jikken/jjikken123.html
理論値が約14.8cmで、実際に測定した結果が約15cmというのは、ちょっと出来過ぎなように思います。もしかしたらどこかで計算間違いをしてる? かもしれませんので、皆さんも実際に計算してみてください。
ただし、理論値と実験結果が約15cmと出てるから、バレルは15cmが一番だと思うのは早計です。というのも、スプリングが強いほど最適バレル長は長くなる傾向があるからです。またバレルの内径が細いほど、やはり最適バレル長は長くなる傾向があります。他にも気密性が高いほど、使用するBB弾の径が大きいほど、最適バレル長は長くなります。
バレル関係の実験では初期ロットのG18C(ノーマル)を使いましたが、その後発売された気密性の上がっているUSPとカスタムバレル(内径の細いバレル)の組み合わせでは、22pくらいが最適長ではないかという結果が出ています。
現在発売されている電ハン・コン電の最適バレル長について
http://den-ken.net/jikken/jjikken158.html
ですので、実際のところ電動ハンドガンのバレルの最適長はいくらなのかと問われると、「自分の銃で実際に実験してみないと分からない」というのが正直なところです。使われているパーツや気密性・使用BB弾などは、各銃によって違いますからね。
初速を上げるつもりでカスタムスプリングを組み込んだけど、初速が思ったより上がらない・逆に初速が下がってしまったという方もいると思います。その場合はほぼ例外なく、気密の確保に失敗しています。そのような銃では理論値の15cmでも長すぎるバレルになるでしょう。
銃の状態は個々に違いがあり、また小さくてデリケートな電動ハンドガンは個体差が出やすいので、そういう意味でも理論値や実験結果は「あくまで参考程度」に考えるのが良いかと思います。
ではどうすれば正確な数値(最適長)を知ることが出来るのか? はい、「自分の銃で実際に実験してみないと分からない」
のですから、実際にバレルを刻んで実験するしかないでしょう。(笑)
シリンダー容量のご質問からは、随分と脱線してしまいました。スミマセン。でもまあ、この脱線話が何かのお役に立てば(立つのか?)幸いです。
南木
Re: 電動ハンドガンのシリンダ容量
投稿日 | : 2022/11/19(Sat) 09:37 |
投稿者 | : takjoe |
リンク | : |
南木さん、早速のお返事ありがとうございます。
シリンダ径と有効ストロークの情報は本当に助かります。
10^2*pi*(35.25-3-5) ←これをそのままGoogleの検索窓に入れると計算してくれます
= 8560.8mm^3
南木さんの 8,556.5mm^3 とほとんど同じです。
最適バレル長の件ですが、東京マルイの純正は6.08だったと思います。(南木さんともあろう方が凡ミスを!?)
なので再計算してみました。
8560.8/((6.08/2)^2*pi)/2
=147.4mm
これも、ほぼ150mmです。
ちなみに PDI 01 バレルですと
8560.8/((6.01/2)^2*pi)/2
=150.9mm
もうほぼ誤差のレベルです。
ですが、実際に電拳さんの実験ですと、
ttp://den-ken.net/jikken/jjikken112.html
の様にタイトバレルが初速上昇に効果的です。
理屈と現実はやはり違いますね(笑)
ただ、タイトバレルではバレル自体の気密が影響するのかなとも思います。
弾の脇を抜けて追い越していく空気は、当然1気圧より高く、ブレーキとして作用している可能性が高いです。
この空気はバレルがタイトであるほど少なくなると考えられます。
(これは電拳さんも考察されていました。)
他サイトさんの情報で申し訳ないですが、
ttps://gungineer.matrix.jp/exam/airgun_exam_syosoku.htm
こちらのサイトによると、低容量シリンダにおいては、バレル容量:シリンダ容量 の最適値は 1:1.5 と結論づけています。
これを今回の考察に当てはめると
8560.8/((6.01/2)^2*pi)/1.5
=201.2mm
これは電拳さんが実験された結果と近く、気密を上げた後継のものが220mmが最適というのも理にかなっています。
気密が100%取れた場合MP7用の242mmの PDI 01 がフルシリンダーに最も適していると言えそうです。
ただ、M93Rの見た目がかっこいいんですよね・・・サイレンサーとかで隠したくないんですよね・・・
以前はエアコキをいじっていて、初速を安定させるために100%の気密を取っていました。(銃口を塞いでトリガを引くと、ピストンが途中で止まり、5分でも10分でもそのまま)
エアコキは初速はバネでなんとでもなるのですが、電動ハンドガンは初速の上昇目的で気密を取り、そこから最適なバレル長を導き出していくわけですね。
エアコキを使っていて、「ええい、こんな取り回しづらいもの使ってられっか!」と電動ハンドガンに興味を持ったわけですが、
うっかり沼に足を踏み入れてしまったようです(笑)
今回はありがとうございました。
また質問させていただくことがあると思いますが、よろしくおねがいします。
皆様のご意見お待ちしております。
takjoe
Re: 電動ハンドガンのシリンダ容量
投稿日 | : 2022/11/19(Sat) 21:32 |
投稿者 | : 南木 |
リンク | : |
takjoeさん、こんにちは。南木です。
東京マルイの純正内径は6.08mmでしたか、失礼しました。凡ミスではなく、「知りません」でした。スミマセン。
わたしの電動ガンに関する基本知識は、サバゲをしてた20年くらい前で止まってるため、内径は6.05〜6.07mmくらいと思ってました。それで今回は、中間の6.06mmで計算しました。
ちょっと昔話になりますが、昔のマルイ純正内径は6.05だったり6.06だったり6.07だったりと、人によって(時代によって)言うサイズがバラバラでした。takjoeさんが張ってくれたガンジニアのリンク先(25年くらい前の記事ですね)では、「バレルはマルイ純正(内径6.05mm)」と書かれていますし、手元にある20年前ほどのArms Magazine誌では内径6.06となっていたりします。
ちなみにわたしの知ってる最新(それでも10年以上前の知識ですが)のサイズでも、最大で6.07でした。なので今は6.08mmが純正サイズになってると知り、ちょっとビックリです。
#もしかしたら「忘れてただけ」かもしれませんが。
当時のサイズが現在と違っていた(年々サイズが大きくなってきた)のか、それとも同じだったが皆が勘違いしていた(正確に測れてなかった)のか正確には分かりませんが、はっきりしているのは「わたしの知識は古い」ということです。
ここ重要なので二度言いますが、「わたしの知識は古い」です。
電拳をご利用いただくときは、皆さんそのことに十分留意してください。もしかすると、電拳で紹介してる情報はすでに時代遅れかもしれませんので。
電動ガンに関する新しい知識は、たいてい電拳の掲示板で皆さんから教えていただいています(リポだったりSBDだったり)。今回も純正内径は6.08mmと覚えさせていただきましたので、次からは間違えないようにしたいと思います。
閑話休題
バレルとシリンダーの最適比率が決まっているなら、多少バレル内径が上下したところでそれほど初速に影響を与えないように(ほぼ誤差の範疇に)思うのですが、実際にルーズバレルからタイトバレルに変更すると大きく初速が変わるんですよね。
この辺りが電動ガンの難しさであり、おもしろさでしょうか。
理論は理論であり、実際にやってみると異なる結果が出ることもあると思います。ですのでtakjoeさんもぜひ一緒に電ハン沼に……ゲフンゲフン、電動ハンドガンの奥深さを共に極めていただければと思います。
またこのスレッドをご覧の方で、バレルやシリンダーに関して有益な理論や実験結果をご存じの方がいらっしゃったら、ぜひ教えていただきたいと思います。
リンクを貼る場合は、URL「http://」の先頭部分のhを削除して貼ってください。スパム対策(悪質なサイトへの宣伝リンク対策)のため、「http://」から始まるリンクは張れないのでご理解のほどよろしくお願いいたします。
南木